わたし と かぞく の

かわらさんと家族の、いつか忘れたくないこと

朝のこと

寝ぼけた8時半。空のシンクで手を洗って、後ろの藤編みの籠に目をやると、バナナが一本減っている。わたしは「ああ、また寝坊したんだな」と思う。 夫の朝は短い。目を覚ましてから家を出るまでの間にゆとりはないから、寝坊すると朝ご飯を食べる時間がない…

息子とわたしたちに優しいあなたへ

ベビーカーの息子を見て微笑んでくれたあなた。かわいいね、と声をかけてくれたあなた。触っていい?と聞いて目を輝かせていたあなた。 私たち家族を心配してお祝いの言葉をくれたあなたたち。お店でぐずる息子を笑わせてくれたあなた。駅で代わりにベビーカ…

息子の香りを瓶に詰めても

頭のてっぺんは、誰かが持ち帰るマクドナルド。おでこは久しぶりにベランダで悠々と干したお布団の匂い。眉間はちょっと香ばしい。押し入れの中みたいな匂いがする。 9月に生まれた息子は、その全身をほやほやの温かい香りで包んでいた。春の空気を抱きしめ…